自動車を購入した際、ディーラーもしくはモータースのスタッフの方に「これを機に自動車保険も当社に切り替えませんか?」というお話が出ることもあるかと思います。そこでのセールストークや保険業法300条違反のことはさておき、お客様が思っていなかった事態が起きてしまって、ご相談を受けることがあります。
多いのは、「解約」と「更新停止」を混同してしまい、ご自身の本意が今までご加入の保険代理店等にうまく伝わっておらずせっかくの割引がなくなってしまう、というケースです。
そして、そうならないために気を付けたい3つのことをお伝えしたいと思います。
ノンフリート等級別割引・割増制度
こんにちは。当ブログへお越しいただきましてありがとうございます。
今回は、お車の買い替えと同時に自動車保険も入りなおす、という際に起こりやすいトラブルの一つをお伝えいたします。
そのことをお伝えする際、どうしても避けて通れないのが自動車保険の「ノンフリート等級別割引・割増制度」です。お聞きになられたこともあるかもしれませんが、今回は「三井ダイレクト損保」のホームページ内の等級制度のページに記載の図を掲載いたします。

等級制度の詳細については同ホームページをご確認頂きたいのですが、ざっくりいうと、
保険期間中、無事故(と記載はありますが、正式には事故の有無ではなく保険金請求の有無です)だと等級が1つ進行(9等級から10等級、という風に数字が上がります)。
保険期間中、事故にあってしまった場合(と記載はありますが正式には保険金請求の有無です)、等級が戻る(9等級から6等級・9等級から8等級等)。
※事故の内容によって、戻る数は違う。事故によっては戻らないモノもある。
※保険期間内複数回事故にあい、保険金請求がある場合は戻る数字は合算される
くらいを押さえていれば十分かと思われます。
解約と更新停止
次に、自動車保険の「解約」と「更新停止」についてお伝えします。
解約とは
解約にもいろいろなケースがありますがザックリと「保険期間中にお客様のご都合で任意保険をやめる事」というご理解で大きな間違いではないかと思います。詳しく見てみたい・知りたいと思う方がいらっしゃれば次回以降でお話ししたいと考えます。
更新停止とは
昨今では自動車保険は保険期間の満期時期を迎えても、「万が一の更新漏れからの無保険状態での事故」を防ぐ観点から、お客様から「更新しない旨お申し出」を頂かない限り「自動更新する」仕組みを備えている保険会社が多数です。
ですから、自動車保険を更新しないのであれば、お客様からお申し出を頂く必要があり、「更新するつもりはないから保険会社にも保険代理店にも言わなければ勝手に保険契約はストップするだろう」とお考えの場合、思わぬトラブルに遭遇することも考えられますので注意が必要です。
お車ご購入にあわせて保険会社を変更する場合
冒頭にお伝えしたとおり、「お車をご購入の際、保険会社も変更して新たに保険契約を締結する場合の思いもよらない事態」とはこのあたりの誤認により生じる「等級の継承」に関するトラブルです。
ノンフリート等級別割引・割増制度、はある一定の条件のもと、保険会社を変更しても引き継ぐことが可能です。諸々のケースはさておき、新たにお車を購入した際に保険会社を変更する場合も現在の割引等級を継承することは可能です。(お車の用途・車種によっては引き継げないものもありますので詳しくは各保険会社でご確認ください。)
チューリッヒのホームページの図がわかりやすいと感じましたので下図をご覧ください。

このように、現在の保険契約の等級を引き継ぐためには、現在の保険契約の解約日と新しい保険の始期日を同一日にする必要があります。
そして、保険契約の満期日とお車の購入、保険の変更希望日(主に新しいお車の納車日)が接近していると(おおむね一か月程度。例えば、満期日10月1日、新車納車日9月1日等)思わぬ事態が起きることがあります。
こういう時、起きてしまうやり取りがこちらです。
募集人:○○さん、いつもありがとうございます。またそろそろ自動車保険の満期が近づいてきました。保険の更新はいかがしましょう。
お客様:あ、それなんですが、保険をやめようと思っています。
募集人:そんなんですね。何かございましたか?
お客様:いえ、特に不満はありませんが、別の保険屋さんとお付き合いができてしまって…。
募集人:そうでしたか、わかりました。今までご加入頂きましてありがとうございました。それではこちらで更新停止をしておきますので新しい方でのお手続きを失念なさらないようにお気を付けください。
お客様:わかりました。こちらこそ今までありがとうございました。
等級が継承できていない
上記のやり取りをご覧になり、ピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが、募集人はお客様が満期更新をなさらないと捉えてお話をしています。そしてお客様は新しい車の納車の際に解約したいと思っている。ここでお互いの意思疎通が出来ておらず、現在の自動車保険の解約がなされないままに新しい自動車保険が始まってしまう、という事が起きてしまいます。
そしてこの原契約と新契約のマッチング作業から等級の継承ができない状態になっていることが確認できるまでおおむね1か月から2ヵ月かかります。
忘れたころに、新契約を締結した保険会社、保険代理店担当者より解約日の確認が入り、等級が引き継げない旨伝えられます。
そして、今更言われても…という事になってしまいます。この場合、基本的にはその納車日にさかのぼり、契約、等級を訂正(割引等級の継承が出来なくなる)しないといけなくなります。
ですから、本来なら、新しく保険契約を締結する保険会社の募集人の方等が
現在の契約を中途で解約をすること
解約日と新しい契約の始期日が同一でないといけないこと
(等級継承には無関係ですが、現在のご契約が一時払契約なら解約返戻金が短期率の計算になること)
等々をしっかりお伝えする必要があります。
また、現在、ご契約をお預かりしている募集人の方は、(難しいかもですが、)もう一歩踏み込んでお話をお聞き出来たらよいかもしれません。
また、お客様自身も、「自動車保険の等級を継承するために必要な手続き」を箇条書き等してもれなく伝わるようにする工夫も必要かもしれません。
補足ですが当社では、
こちらが新たにお引き受けをする場合「現在のご契約の解約日のわかる書類等」をご準備頂き、最悪の事態が起きないように努めています。
また、当社のご契約を中途で解約いただき他社様で新たにご契約をされる場合には、「当社の解約のお客坂控え」を新しく保険締結をされる保険会社等にご持参するようお伝えしています。
まとめ(割引を引き継ぐために気を付けたい3つのこと)
いかがだったでしょうか。ちょっとしたことから今まで何年もかけて進んできた自動車保険の等級が継承できなくなることがある、ということがおわかりいたお分かりいただけたでしょうか。
もし、新しくお車を買う等で自動車保険を保険期間の中途で他社に変更するときは、少なくても以下の3点をご注意いただけたら良いかと思います。
1.現在ご加入の自動車保険の担当者等に「中途で解約する」こと
2.現在ご加入の自動車保険の担当者等に解約日を指定してお伝えすること
3.新しい自動車保険の始期日(契約日ではなく、保険の効力が始まる日)を解約日に合わせること
皆様のお車買い替え、自動車保険の変更等がスムーズに行える一助になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※出典:三井ダイレクトホームページ・チューリッヒホームページ