保険代理業を営む方や、保険の募集人は(他の方も当然と言えば当然かもしれませんが)言葉は慎重に選ぶ必要があると思っています。
営業活動時や事故発生時、我々が発する言葉一つでその後の展開が大きく変わってくる可能性も大いに秘めていると感じます。
保険業界では、お客様が事故に遭われた際の解決(≒保険金のお支払い)に向かう動きを「事故処理」という事が多いです。

私はこの業界にお世話になり始めた20年前から違和感を感じていました。それは「事故対応」というべきではないか?と。
今でこそ、保険会社も「事故対応」と表現することが増えている気もしますが、まだまだ「事故処理」という表現を聞くことが多いです。代理店は言わずもがな、です。
もう、保険業界では「事故対応」に統一したらどうでしょう、と思ったりします。
ごあいさつ
こんにちは。
当ブログへお越しいただきましてありがとうござます。保険代理業へ身を置き20年が過ぎました。そんな中で感じたこと、気づいたこと等を綴っています。

今回は、「事故処理」について。と言っても我々が普段行っている対応についてではなく、その言葉、そのものについて、です。
どうぞよろしくお願い致します。
「処理」と「対応」
早速ですが、「処理」という言葉にどんなイメージを感じますか?

個人的にはあまり良いイメージはありません。
もちろんいろいろな使い方がありますから、悪いイメージを植え付けるようなことをするつもりはありませんが、Weblio辞書によると、
物事を取りさばいて始末をつける事
取り扱って事の始末をつけこと。処置すること。
とあります。
一方、「対応」という言葉はどうでしょう。
同じく、Weblio辞書を見てみましょう。
①互いに向かい合う事、相対すること。
②ある一つの物事が、他の種類、範疇に対して対立、上位・下位、並列などの関係にあること。
③二つの異なるものや性質がよく釣り合いのとれている事。
④相手の出方や状況に応じてそれにふさわしく行動すること。
⑤数学で、1つの集合の各要素を第二の集合の要素にそれぞれ結びつける規則。
複数の意味合いがありますが、今回のケースでは、④の相手の出方や状況に応じてそれにふさわしく行動すること、が最適かと考えます。
「事故処理」と「事故対応」
それでは、上記の意味で考えたとき、「事故処理」と「事故対応」での意味はどうでしょうか。
事故処理
お客様が事故に遭われた際、その事故を取りさばき始末をつけること
となります。
事故対応
お客様が事故に遭われた際、お相手の出方や、事故の状況に応じてそれにふさわしく行動すること
となります。
どちらが適切な言葉と感じるでしょうか?
少なくても私個人の意見で言うと、後者かな、と感じます。
言葉遊び、と言われると確かにそうだったりしますけどね。
言霊という考え方

言霊という言葉があります。
言葉が持つ力という意味でつかわれることが多いですが、要は、
良い言葉を発すればよいことが起き、不吉な言葉を発すれば凶事が起きる
という考え方・思想で、日本では古来より言葉の力が信じられていました。この言霊についての議論は差し控えますが、言葉が行動に、行動が言葉に現れる、というのは意外とあるのではないかな、と思っています。
事故処理事故処理といっていると自然と
この案件をさっさと始末をつける、という行動になってしまわないか、なってしまっていないか、それは本当にお客様と向き合っての行動なのか、、、。
一度立ち止まって考えてみる必要があるのではないか、そういう風に思ったりもしています。
同じように、どうせ言葉を発するなら「事故対応」と言って、行動をする方が、より丁寧な対応が出来るのではないか、
そんな感じですね。
「事故対応」で統一を
言葉一つで行動が大きく変わることはないかもしれません。
しかしながら、行動変容の一つのきっかけにはなり得るのではないか、とも思っています。そこで当社では「事故処理」「事務処理」という言葉はやめようではないか、と話をしています。
我々は「事故処理」→「事故対応」・「事務処理」→「事務対応」と言うように心がけています。
「事故対応」「事務対応」と言い続けていると、自然とその動き自体も、より丁寧なものになるかもしれませんね。
保険業界全体も「事故処理」から「事故対応」に言い方を統一してくれると良いな、と思っています。
まとめ
いかがでしょうか。
今回は保険業界向きの内容かもしれませんが、ことばの選択で相手への印象、伝わり方が変わるだけでなく、自分自身の動き方も変わってくるかもしれません、というお話でした。
そう考えると、この業界に従事する方だけでなく、すべての人にお役に立てる話、かもしれませんね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。